脳卒中や認知症の前兆を早期に発見する脳ドック

マルチスライスCTなら更に鮮明な画像が

眩暈がする、目がかすむ、頭が重い―。早朝から夜遅くまで働く方は疲れがたまってくると、これらの症状をたびたび経験すると思います。しかし、疲労が原因ではなく、脳の血管が詰まって起こる脳梗塞の前兆として現われている場合もあり油断はできません。

脳梗塞に加え、血管が破れる脳出血やクモ膜下出血は総称して「脳卒中」と呼ばれていますが、この病気は高血圧や糖尿病などの危険因子を持つ人だけがかかるとは限りません。「うつ」にしても脳血管と深いかかわりのある症状で、全てが心因性のものではないのです。

日頃からこれらの症状が気になっている方には、MRI(磁気共鳴画像)やMRA(磁気共鳴血管画像)を使った画像診断で、未破裂脳動脈瘤や脳腫瘍の有無、脳梗塞の前兆、認知症の原因となる脳萎縮などを調べる「脳ドック」の受診をお勧めします。

以前は定年退職前後の60代の受診者が多い傾向にありましたが、最近は働きざかりの30歳代から40歳代で脳血管疾患で倒れる方も少なくないため、受診者の年齢層は若年化してきています。

全国で数百ある脳ドックですが、病院選びのポイントは、検査機器の新しさと診断を確実にできる専門医の存在です。MRIとMRAは少なくとも1.5テラス(磁場強度の単位)以上がよいとされています。また、その施設に脳神経外科などの専門医がいることや、豊富な検査件数、異常が発見された場合に同じ施設で治療を受けることができるかということも病院選びの一つの基準となります。

脳ドックは基本的に自由診療となりますので、料金(3〜9万円)は全額自費で払うことになります。人間ドックや腫瘍マーカーなどのオプション検査と組み合わせてお好みのコースを作れる医療機関もあるので、ご自身の気になる病気に合わせて、HPなどで確認するとよいでしょう。なお、異常が発見された場合の治療は保険が適用されます。

脳腫瘍や卵巣がん、悪性リンパ腫に有効なPET検査

得意な臓器と苦手なものがあります

がん細胞は活動が活発なため、通常の細胞より多くのブドウ糖を消費します。この性質を利用して、ブドウ糖に似た専門検査薬を注射して、その集合体を画像化してがん(特に頭頚部・卵巣のがん、悪性リンパ腫)を早期発見しようというのがPET(陽電子放射線断層撮影法)検査です。

従来のCT(コンピュータ断層撮影)やMRIががんを形で認識するのに対し、PETは細胞の活動度で認識するので、その両者を組み合わせれば、より精密な検査を行うことができます。

がんの早期発見に加え、腫瘍の良悪性の識別、再発・転移の見極めにも役立つPETですが、どのような観点で施設を選ぶべきなのでしょうか。

これは上記の脳ドックと同様に、最新鋭の検査機器、画像診断の確かな医師、異常が見つかった場合の治療との連携が挙げられます。おおまかな目安はやはり、検査件数の多さとなります。

PETも自由診療の扱いとなるため、料金は10万円と高額です。ただし、厚生労働省の基準により、一部の疾患で一定の条件を満たした場合に限っては保険適用となります。受診を考えている方は医療機関や自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。

ただし、PETはあらゆるがんに対して有用というわけではなく、胃や肝臓、前立腺などの部位や、1センチ未満の小さながんを見つける精度が低いという問題もあります。

短時間で胃腸を検査する無痛内視鏡

専門医の養成が普及の鍵

健康診断の便潜血反応で陽性だったり、バリウム検査で異常が見られた場合に初めて受ける人が多い内視鏡検査ですが、胃腸に関して何らかの自覚症状がなくても、@40歳以上、A両親・兄弟に胃・大腸がんの人がいる、Bピロリ菌がいる、あるいは除菌した―のいずれか一つでも当てはまる人は検査を受けたほうがよいとさrています。

胃がんとの関連性が明らかになったピロリ菌ですが、除菌した人も含まれているのはどうしてでしょうか? それはピロリ菌の除菌により、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に悩まされてきた人の98%は再発の恐れはなくなるものの、それで胃がんのリスクがゼロになったわけではないためです。なかでも、発がん性が高いとされている胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎は、ピロリ菌との関係が深いので注意が必要です。

しかし、経験された方はおわかりかと思いますが、通常の内視鏡検査はいくら部分麻酔が効いているからといっても、挿入時から終了まで続く「オ、オエッ!」とくる異物感、嘔吐感はいかんともしがたいものがあります。実際、検査を受けた9割以上の方が、ある医療機関のアンケートに対して「二度と内視鏡検査は受けたくない」と答えてます。

そこで近年注目されているのが鎮静剤を投与して、半覚醒状態の間(10〜20分)に検査を行う「無痛内視鏡」です。これならば、体への負担も少なく短時間で胃や腸の状態を調べることができます。2年に1回の頻度で受けてるようにすれば、仮にがんが発見されたとしても、内視鏡手術で十分に切り取れる範囲ですので、命に別状はありません。

問題は、鎮静剤の投与から10〜20分を越えてしまうと被験者の意識レベルが戻ってきて痛みを感じるので、時間内に検査を終了させるために熟練した技術が必要なのですが、そのレベルに達している医師がまだまだ少ないということです。

なかでも、胃に比べて長く、屈折した大腸に挿入する検査は難しく、上達するのは10人に1人いるかいないかのレベルといわれており、技術を有した医師に担当してもらえる可能性が低いのもネックです。病院を選ぶ際には、検査の実施件数と日本消化器内視鏡学会の指導医がいるかどうかを一つの目安とするとよいでしょう。

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